コスメ動物実験
【コスメ動物実験】
引用:CHIEE
あなたはもし、犬や猫が虐待されるのを見たらどう思いますか?多くの人が、「かわいそうだ。やめてほしい。」と思うでしょう。
では、うさぎや犬やその他の動物たちが、化粧品などの日用品のために動物実験に用いられて苦しめられていることについては、どのように感じるでしょうか。
「安全のためには仕方ない」と思うでしょうか。
しかし、EU域内ではすでに2013年から、化粧品の動物実験が禁止されています。動物実験は果たして本当に「仕方ない」ものなのでしょうか。
今回は、化粧品の動物実験に関わる世界の動きと、動物に優しい化粧品の選び方をご紹介します。
化粧品の動物実験、世界の動向は?
EUでは2013年3月から、動物実験をして作られた化粧品(シャンプー、リンス、整髪料などを含む)の販売が、全面的に禁止されました。1990年代以降、EUでは動物実験が少しずつ取り締まられるようになり、2009年にはすでにいくつかの毒性試験を除く化粧品の動物実験が禁止されていました。
禁止の裏には市民の意識の高さがあった
禁止のきっかけとなったのは、動物実験に対する市民からの長きに渡る批判や抗議活動でした。
動物実験に反対するデモに参加する市民や、「動物実験で作られたものは買わない」という無言の抵抗をする市民など、形は様々でしたが、多くの市民が動物実験に対して負のイメージを持っていました。動物実験が禁止されてから5年、EU域内で世論調査を行っている「ユーロバロメーター」によると、EU市民の実に89%が、EUには動物を守るための世界への働きかけを、さらに促進してほしいと考えているようです。
EU以外でも次々と禁止に
2013年にEUで化粧品の動物実験が全面禁止となりましたが、その後も、ニュージーランド、オーストラリア、グアテマラ、台湾、韓国、インド、アメリカ・カリフォルニア州、ブラジルのいくつかの地域などで、動物実験が禁止となりました。さらに、南アフリカ、カナダ、スリランカ、メキシコなどは、今後の禁止に向けて大きく前進しています。
どうして「禁止」するのか?
動物実験に反対する人たちは、世界中に大勢います。では、なぜ動物実験を「よくない」ものだと感じるのでしょうか?人間が化粧品を安全に使用するには、動物実験は「必要」なものではないのでしょうか?
動物を利用するのは倫理的でないから
動物実験では、うさぎなどの目に試験物質を点眼をしたり、毛を剃ったり人為的に傷をつけたりした上で、皮膚に試験物質を垂らしたりして、数日間様子を見ます。強烈な痛みを感じて暴れまわったり、炎症を起こしたり、ただれて骨が見えてしまうこともあります。そして、使い物にならなくなった動物は全て殺処分されます。そんな残酷な動物実験の実態を知って、「人間のために動物を犠牲にするべきではない」「動物は人間のためにいるのではない」と考えた市民たちが立ち上がり、企業や政府がそれに応えるようになったのです。
代替方法があるから
培養細胞や人工皮膚モデル、さらにはコンピュータシミュレーションなど、化学物質の毒性を実験・推定する技術が発展したことで、動物実験をしなくても安全な化粧品作りができるようになりました。動物実験と違って、個体差や人間の体との組織の違いが小さく、時間とお金もかからないのも、これらの方法を採用するメリットの一つです。動物実験を禁止した国々は、決して「安全性をおろそかにしても良い」という考え方ではなく、新たな実験方法へのシフトを促していったのです。
日本企業も・・・
日本の化粧品メーカーでは、これまでそれほど動物実験禁止への関心が高くなかったことから、多くが動物実験を続けていました。
ところが、EUで動物実験をして作られた化粧品が全面禁止となり、輸入品に関しても同様にその規制が適用されたことから、特にEUへの輸出額が大きかった日本のメーカーは手を打たざるを得ない状況になりました。例えば、化粧品大手の資生堂では、売上高の約12%を欧州が占めていたこともあり、2010年頃から動物実験廃止の方針を明かし、2013年には正式に廃止を発表しました。
海外メーカーが積極的に活動
また、イギリス発のLUSHやTHE BODY SHOPなど、日本でも人気の海外メーカーが動物実験を廃止する運動を積極的に行ったことは、日本人が動物実験に関心を持つひとつのきっかけとなっています。LUSH製品を買ったことがある人なら、「FIGHTING ANIMAL TESTING」と書かれたこんなマークを見たことがあるかもしれません。また、THE BODY SHOPも、動物実験を世界的に廃止するための署名活動を行うなど、精力的に活動しています。
まとめ
今回は、化粧品の動物実験について、世界と日本の動向をお伝えしました。
EUを中心に、たくさんの国で化粧品の動物実験禁止の動きが広まっています。そしてその動きは、消費者の意識の向上に支えられています。
「動物実験には反対だけど、どんな化粧品を買えばよいのか分からなかった」「動物に優しいエシカルな生活がしたい」。そう思っている皆さんは、この機会に動物実験をしていない化粧品を選ぶようにしてみてはいかがでしょうか。