成長ホルモン
私たちが口にする食べ物には一体何が入っていてどこから来ているのだろうか?
ご自身の身体の健康について考えた事があるなら一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?
最近は何かとテレビや新聞のニュースでも食と健康についての話題が取り上げられています。
私たちHORIZON FARMSの創業メンバーは国内外の食肉業界に10年以上携わってきており、
家畜に対する遺伝子組み換え飼料やホルモン剤、そして抗生物質を投与している理由に熟知しております。
成長ホルモンとは?
成長ホルモンとは、私たち人間や動物そして植物にとって自然に分泌される物質で、人を含む動植物の成長や繁殖には欠かせない存在です。私たちが日ごろ動物たちに関して「成長ホルモン」という言葉を使うときは、その大抵が人工的に投与されるもので「成長促進ホルモン剤」や「肥育ホルモン剤」と言われるものです。こうしたホルモン剤は、自然のものと人工的に合成されたホルモン物質をミックスし若い家畜に投与されます。
※以下肥育ホルモン剤に統一します。
肥育ホルモン剤を投与する理由はなぜですか?
家畜に対して肥育ホルモン剤を投与する理由は「成長速度を速める」という1点のみです。肥育ホルモンを投与することで、餌に含まれる栄養の吸収効率が高まります。与える餌の量を少なくし餌代をおさえつつも、吸収の効率をたかめて相殺するイメージです。また成長速度も速くなるので出産から屠畜までのサイクルが短縮され、同じ期間でもより多くのお肉を生産できるようになります。肥育ホルモン剤を投与することで、餌代を抑えつつ一度に多くのお肉を生産できるようになるのです。1
肥育ホルモン剤は豚や鶏など全ての家畜に投与されていますか?
どの家畜に対しても肥育ホルモン剤を投与する事は可能です。方法としては餌に混ぜたり、注射やインプラントと言われる肥育ホルモン剤が入った小さなチップを埋め込み、成分が徐々に体内に行き渡るようにする手法もあります。肥育ホルモン剤の投与は国よって規制が異なる事も留意しておく必要があります。例えばアメリカでは鶏、カナダでは豚に対して肥育ホルモン剤の投与を禁止していますが、どちらの国でも牛に対する投与は認められています。
肥育ホルモン剤の投与を認めている国はどこですか?
この記事の執筆時点での話ですが、食肉輸出大国のほとんどが認めています。具体的には、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、そしてカナダでは肥育ホルモン剤の投与を肉牛、乳牛ともに認めています。対してEU(ヨーロッパ連合)では肥育ホルモン剤を禁止しており、また投与された家畜の肉を輸入する事も禁止しています。2
ここで大切なのが、肥育ホルモン剤投与の有無は「国単位」で見るのではなく、「農場単位」で見る事です。なぜなら国は許可をする立場のみで、実際に投与するしないは農場が決める事だからです。
その為、私たちHORIZON FARMSでは国ではなく、世界各国から肥育ホルモン剤を使用していない農場を厳選して皆様にお届けしております。
なぜEUでは肥育ホルモン剤が投与されたお肉を禁止しているのですか?
EUの獣医公衆衛生に関する科学委員会では、肥育ホルモン剤が人間の健康を害するリスクがあるとの見解を示しているからです。EUでは1981年より、家畜に対して成長促進効果のあるホルモン剤の投与を禁止しています。この肥育ホルモン剤の禁止措置はEUに加盟する全ての国において適応され、加盟国以外の国で投与されたお肉の禁輸を含みます。この決まりは2003年に加盟国の間で再確認されています。2
日本での肥育ホルモン剤はどのような扱いですか?
この記事の執筆時点において、日本では家畜に対する肥育ホルモン剤の投与を禁止しています。しかしながら、外国において肥育ホルモン剤を投与された家畜の肉の輸入は認めています。3
肥育ホルモン剤投与の有無は原産国で判断できますか?
残念ながら肥育ホルモン剤投与の有無は原産国で判断はできません。国が決めるのは使用の許可、または禁止の部分であって、実際に投与するかどうかを決めるのは各農場の判断になります。つまり、肥育ホルモン剤の投与を許可している国でも、実際は家畜に肥育ホルモン剤を投与しないで育てている農家は存在しているのです。
肥育ホルモン剤を投与されたお肉は商品ラベルに記載されていますか?
この記事の執筆時点において、日本では肥育ホルモン剤投与の有無を商品ラベルに記載する義務はありません。購入前に販売者に問い合わせてみたり、実際に商品ラベルを確認してみてください。
肥育ホルモン剤が投与されていないことは、付加価値となり、宣伝価値があるのでその旨がしっかりと明記されているはずです。
肥育ホルモン剤不使用のお肉は価格が高くなりますか?
論理的にとらえると高くります。その理由は、肥育ホルモン剤を使う事で生産コストを下げつつ、生産効率が高くなるので、販売価格を安く抑える事が可能になるからです。その為、肥育ホルモン剤を投与されていないお肉の価格は投与されたお肉よりも高くなります。
肥育ホルモン剤は私たちが食べるお肉の中に残留物として存在しますか?
厳しい基準を設けている国では、農家に対して屠畜前に「ホルモンフリー期間」を設けるように義務付けています。この間は家畜に肥育ホルモン剤を与えず、体内に残っている量を基準値以下になるまで待つのです。
そうすることで屠畜し加工する段階では、投与された肥育ホルモン剤のほとんどが体外に排出された状態となり、基準を満たしたうえで食肉の加工を行う事ができるのですが、この加工が可能となる残留肥育ホルモン剤の量に関する基準は国ごとに異なります。こうした基準をしっかりと満たした状態で全て加工処理が行われているとすれば、お肉がスーパーに並ぶ段階で肥育ホルモン剤の残留濃度は0、または基準値以下ということになります。
肥育ホルモン剤は人の健康に害をもたらしますか?
人の健康に害をもたらすかどうかは、未だに結論が出ていないのが現状です。様々な研究や実験が行われており、適切な投与量と適切なホルモンフリー期間を設ける事で問題はないという考えもあります。厳密にはホルモン値がやや高いのですが、それでも肥育ホルモン剤を投与されていない家畜にも時折見られる数値の範囲内であるので、問題はないと解釈されています。
オーガニックのお肉には肥育ホルモン剤は使われていませんか?
有機畜産物の基準では、肥育ホルモン剤の使用は禁止されています。5
100%グラスフェッドの牧草牛は肥育ホルモン剤不使用ですか?
いいえ。100%グラスフェッドの牧草牛であっても肥育ホルモン剤が投与されている事はめずらしくはありません。牧草のみを食べて育ったというのが100%グラスフェッドであり、肥育ホルモン剤投与の有無は関係ありません。肥育ホルモン剤は注射やインプラントでも可能な為、牧草のみを食べる100グラスフェッドでも投与は可能で、使用するかどうかは各農場がそれぞれ判断しています。
肥育ホルモン剤の投与は動物福祉の観点でどのように捉えられていますか?
家畜に対して肥育ホルモン剤が使われる理由は「利益」の為のみです。一般的に、こうした肥育ホルモン剤は幼い家畜に投与され成長速度を通常よりも速めます。インターネット上のニュースや雑誌などでは、肥育ホルモン剤を投与された家畜に異常行動がみられるとのレポートも見受けられます。こうした現象について監査機関などは、肥育ホルモン剤の誤った使い方による可能性が高いという見解を述べています。
肥育ホルモンの使用による環境への影響はどのようなものですか?
大規模に運営している食肉加工業者や農場は、肥育ホルモン剤を使う事で必要な餌を減らし、加工の回転を速める事で自然に対する影響を抑える事ができるという見解を示しています。その中には、肥育ホルモン剤を使わずに現状の高い需要にこたえるには、家畜の数を増やし餌となる穀物をより多く栽培する為、自然環境への負担が増える事になるという意見もあります。
WHO(世界保健機関)の肥育ホルモン剤に対する見解を教えてください。
FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の肥育ホルモン剤使用に関する委員会では、動物福祉に則した畜産方法の上での肥育ホルモン剤の使用であれば、加工の時点で食肉に残る肥育ホルモン剤の人体に悪影響を及ぼす可能性は低い。肥育ホルモン剤を投与された家畜のホルモンレベルはそうでない家畜よりも高い傾向がみられるが、その数値自体は投与されていない家畜でも見られる値の範囲内に収まっている
との結論をだしています。
結局のところ私たちはどうすべきなのでしょうか?
食と健康に関する答えというのは、一概に「これが一番正しい」と決めるのは非常に困難です。
株式を発行している大企業であれば、株主の為に生産コストを下げ利益を高めて還元する必要があります。さらに消費者側からの低価格を求める声も無視することはできません。畜産業界は製薬業界にとって、大きな顧客でもあります。また、動物愛護団体は動物性たんぱく質の消費を減らすことをミッションに掲げて活動しています。また近年、「自然食品」や「オーガニック食品」に対する需要は増えてきておりますが、この「自然」という言葉の明確な定義は無く、あいまいで規制もないので多く使われるようになりました。利益を最重要視した手法でも「自然」という言葉が使えてしまう結果、伝統的な手法に則って畜産業を営んでいる小規模な農家の方々は苦境に立たされることになっています。そうした規制を管理する行政は行政で、外国との輸出入に関する協定や経済活動への影響を懸念して、明確な規制を行えないのが現状です。
このように、食と健康に関するトピックには多種多様な業界の利害関係が複雑に絡み合っていて、人によって最適解は異なります。さらに誤った情報の発信や、都合の悪いことは隠して発信する、一部の主張に偏って発信するといったロビー活動もあります。
この問題の最適解は消費者である「あなた」が決め、判断を下す必要があります。