Brand Storyブランドストーリー
創業の精神brand story
祈心創道
「人を生かし、道を創り、日本一を目指せ。」
冬の寒い店頭で大根をもって「無農薬です」「いかがですか!」とお客様に一生懸命すすめている社員のあの姿、玄米弁当を差し出す社員の使命感に燃えた後ろ姿、お客様を啓蒙しようとやる気のある社員たち。白川筧は大赤字の部門であるナチュラルハウスの創業を決意した。
コトブキ創業者であり祖父の細谷清は1945年台湾から帰国する時、全財産をはたいて純白の砂糖を日本に持ち帰った。それを元手に神戸三宮の闇市でぜんざい屋「寿本舗」を起業。人工甘味料サッカリンではない本物の砂糖は戦後の人々の心を寿(ことほ)ぎ、お菓子の町神戸で「本物の信頼」という暖簾を生んだ。これがナチュラルハウスのルーツである。
清の娘婿筧は菓子事業を見事に成功させた。しかし一方で当時は高度成長期の真っ只中。食品では農薬は使い放題、薬害問題が頻発している時期であり、りんごやみかんは洗剤で洗わなければ落ちないほどの農薬が使われていた。1978年「菓子事業が元気なうちに第二の事業の柱を立ち上げなければ……」との危機感に駆られていた筧は、ニューヨーク“BIG APPLE“の地で「オーガニック」と運命的に出会う。
帰国後、新規事業としてオーガニック専門店6店舗を立ち上げた。しかし早すぎたオーガニック事業は大赤字となり、1982年コトブキの取締役会はついにオーガニック事業の中止を決定した。新規事業に従事する若い社員たちの情熱にあおられ、筧はコトブキを辞し、ナチュラルハウス創業を決意したのである。
創業時の取引先への挨拶状には、
1.日本ではまだオーガニック市場がなく前途多難であり、マーケット自体を創造していかなければならないこと。 2.国内には製造販売両面で先輩企業が無く、大変な苦労を伴うこと。 3.しかし、やるからには業界で日本NO.1の企業にすること。
としたためられている。この「道を創る」覚悟がナチュラルハウス創業の精神である。
「この会社に入ってよかった。息子や孫も入れたい。そんな会社を創りたい。」といのり続けた創業者白川筧。私との最後の会話は、多額の借金を返済し終えた帰りのタクシーの中の「お前がいてくれて助かったよ。洋平ありがとうな。」だった。 2002年7月20日創業者帰天。 一同、経営理念唱和で納棺を見送った。
2009年10月29日 明徳庵にて 白川洋平