NO-RA ~農楽~
千葉康伸さん
生産者のこだわり、強味を教えてください
私たちの畑で採れた野菜は、余計なものは一切使用せず元気に育っています。美しい河川と自然に囲まれた神奈川県愛川町に畑があります。土づくりを主体とした畑から、無農薬・無化学肥料で年間に約50品目の野菜をお届けします。
NO-RAではお客様との約束として、下記を掲げています。
お客様との約束
1 常に学びつづけ、更に高品質な野菜づくりにより消費者に笑顔を届けます。
2 持続可能な農法で野菜が育つ環境を整えます。(農薬・化学合成肥料は使用しません。)
3 土づくりを主体とした作付け体系で、無理をさせず丁寧に野菜を育てていきます。
5 豊かな生態系を未来の子どもたちに残し、農家ができるSDGSに取り組みます。
「土づくり」について
土づくりを主体とした露地の畑で栽培しています。作付けが終わったら、次作のため畑を休めながら土づくりを行います。NO-RA代表千葉康伸の師匠である山下一穂氏の提言する、“緑肥”をメインとした「畑まるごと堆肥化」を常用しています。“緑肥”とは、栽培した植物は収穫せず、そのまま田畑に漉き込み、微生物の活動により分解させ、栽培する作物の栄養源や生産環境を整えるものです。緑肥による土づくりは、野山の「自然再生力」と似ています。森の木々は、自らが成長する栄養分を落ち葉(有機物)で作っています。落ち葉は土となり、根から栄養分を吸収する、その現象を助長してくれるのが、土の中にいる小さい虫や微生物。有機物は落ち葉、チッ素分は微生物の死骸等です。この仕組みを畑で再現しています。
「肥料」について
土づくりを基調としていますので、肥料を抑えることができます。少肥もしくは無施肥で高品質の野菜を育てることに注力しています。元肥は植物性の非遺伝子組えの菜種を原料とした油粕、追肥は動物性の有機ボカシ(肥料・資材の先進的な研究開発を進めている川合肥料、大和肥料から購入)を使用しています。夏場の果菜類と越冬作物以外は基本元肥のみで育てます。
生産者の商品に対する想いを教えてください
農業は、五感を研ぎ澄ませて、四季を感じ、自然との調和を重んじる事が出来る仕事です。必ずしも食べてくれる人の顔がいつも見えなくても、どこかで私たちの野菜で笑顔になっているだろうと想像しながら、畑作業を楽しんでいます。
私自身、農業が大好きで、農業に一番引き込まれたのは“失われた感覚を取り戻せたこと”です。(代表千葉談)
農業の師匠である山下一穂にいつも言われ続けていた言葉があります。
「五感を取り戻せ」
私は、農業を通して、目と耳と鼻と舌と手足で、たくさんの情報を得ることができるようになりました。朝から晩まで畑に出ることで幼少期に持っていただろう繊細な五感を取り戻せたのではないかと思っています。(代表千葉談)
目は鳥の目のように、畑を横から見た画像が空から見たような画像に変換できます。耳はとても敏感で小さい音も拾い、何かの異変に気付きやすくなりました。急に風が強くなり、冷たい風が吹くと空を見て、雨が近いことを察知します。
常に天気予報は見ますが、空を見て、自分なりに雲の流れで雨の降る時間を予想します。鼻はかなり利く方で、異臭や土の香り、野菜に近づいた時に虫害に合っていそうなときに臭いで察知することもあります。
舌は農家にとって一番といっていいほど大切な感覚で、お客様に提供できる品質かどうかをスタッフみんなで確認します。舌で野菜が育った環境も想像出来ます。
手は様々な土を触り続けた結果、自分の畑の土の状態は触れば様々な情報が入ってきます。もちろん目で見て葉や茎からも情報をいただきます。
恐らく、元々はみんなが持っていた感覚が、土や自然から離れる現代社会の生活で鈍り、麻痺しているのかもしれません。
私はとにかく毎日たくさんの時間を畑に費やし、外で営業など一切せずにやってきました。そのおかげであると感じます。自然が一番の先生です。
農業は土臭い職人。それが僕の理想像。
今は農業だけ集中したら関わる人みんなが生活していけるような環境づくりや他産業とのつながりを作ったりする事にも注力していますが、原点はそこです。みんなには土臭い職人になってほしい。
どんな世代にも興味を持って欲しいですが、私にとって「楽しい農業」を特に子供たちや若い世代に伝えていきたいです。
ナチュラルハウスとの出会い
社長である白川さんとは私の農場外での活動の一つである“日本オーガニック会議”で2022年に出会いました。もちろん個人的にはずっと知っていましたが、営業はしないので、高知県で師匠のところで研修しているときに高知市内にナチュラルハウスがあり、そこに出荷していました。将来、こんなところに出荷できたらいいなあ、とずっと思い焦がれていました。白川さんにお声がけいただいたとき、顔は平静を装っているつもりでしたが、心の中ではうれしくて小躍りしていました(笑)。末永く、そしてお客様や店舗スタッフさんに喜ばれるような関係性を作るべく、日々畑で精進していきます。
ORGANIC CAN CHANGE THE WORLD
「NO-RA〜農楽〜」は、農業をはじめたい!という人たちが一緒に学んでいて、一人ひとりが、自分たちが経営していくための学びを一緒に共有している場所です。
師匠である山下一穂から教わったこと、私が失敗や成功体験から得たものや、他地域で指導しつつ学んできたことを常に伝えて互いに成長しています。
屋号は“農業が楽しい”と書きます。その名前の通り、農業の知識、体験、考え方等、すべてを楽しみながら、お互いに共有しています。これまで15名がNO-RAで農業を学び就農されました。
私たちの畑で採れた野菜を食べたお客様にも農業の楽しさを感じていただけたらと思います。
僕たちのお野菜に限らず、ナチュラルハウスにある、いろいろな生産者の野菜や果物の旬を楽しんでください。
「旬を味わう野菜・身土不二」という言葉をご存知でしょうか。身土不二とは、人間の身体と暮らす土地は一体という意味です。春は冬に鈍った身体を起こす少し苦味のある野菜、夏は火照った身体を冷やしてくれる瑞々しい野菜、秋冬は甘味があり身体を温める野菜を。野菜を手にとっていただき、自然の大切さ、そして農業の楽しさを体感いただけたら農家冥利に尽きます。